「は?!結婚?しかもできちゃった結婚?お姉ちゃんが、この人と?」
あたしはまじまじとお姉ちゃんの隣にすわる男の人を見た。
「ちょっと香恋(かれん)、失礼でしょ」
「あ、ごめんなさい…」
あたしはお姉ちゃんがおごってくれたパフェを食べた。
「そりゃ驚くよね。いきなり結婚なんて言われたら」
「は、はぁ…」
「僕は三谷 啓介(みたに けいすけ)。よろしくね、香恋ちゃん」
「はい、よろ…………三谷?」
「え?」
この人、どっかで見たことあると思ったんだ。
ウチのクラスの三谷に似てるんだ…。もしかして、もしかすると…。
「いや、なんでもないです。それで、話って結婚するってことだけ?」
「それで、同居することになったの」
「へー」
つまり、お姉ちゃんがお義兄さんの家に行くって事でしょ?あたしは別にいいんだけど。
とか思いながら、パフェを食べ続けていた。
「それで、香恋も一緒にいくことになったから。お義母さんも大歓迎だって」
「は?」
「僕、弟が一人いるんだけど、母さんは女がほしかったみたいで。
香凜(かりん)と結婚するって言っただけで喜んでて、香恋ちゃんも大歓迎だって言ってたよ。香恋ちゃんの通ってる学校に近いし、いいと思うんだ」
「というか、もう決定事項だから」
お姉ちゃんがつけくわえた。
「あの、すみません。弟さんって、まさか三谷 康輔(みたに こうすけ)だったりしませんよね?」
気になってたコトを聞いてみた。
できれば、そうであって欲しくないコトなんだけど…
「え?なんで香恋ちゃんが康輔のこと知ってるの?」
…終わった。終わったよあたし。
三谷は、お義兄さんとは真逆の性格で、いっつもあたしと喧嘩してる奴。しかも席隣だし…
なんで??なんでよりによって三谷の家にいって一緒に暮らさなきゃいけないの?!