「やーっと着いたー!」
「結構長かったねー」
「美菜子ほとんど寝てたじゃん」
「隣であきがすやすや寝てるんだもん。あたしまで眠たくなっちゃったぁ」
「…悪かった」
「あきは悪くないよ?気にしないでいいからね」
「そーか」
最近、矢幡が笑うところを見るようになった。
矢幡の笑顔なんか、想像もできないぐらいだったのに、今みたいにフッて笑う。
もちろん、美菜子に笑いかけるときは特別格好良かったりする。
「まず荷物運ばなきゃね」
「うん、そうしよう」
「三谷、早くー」
他のグループの人はもう荷物を運び始めてる。
「ヤバイ。俺酔った」
気持ち悪そうな顔して三谷が来た。
「朝酔い止め飲んでたじゃん。効果なかったの?」
「三谷、吐きそうなのか?」
そういいながら、矢幡が三谷を連れてトイレへ行った。
「へー。矢幡って面倒見いいんだね」
「うん。小学校のトキからそうだった。優しいんだよ、あきは」
「いいね、そんな人が彼氏で」
美菜子は照れるように笑った。
「三谷康輔ふっか―――――つ!!!」
先に部屋に行っていたあたしと美菜子の所へ、あとから矢幡と三谷が来た。
「はいはい、黙ってろ復活した三谷康輔」
「………」
「荷物あっちに置いといて」
「了解」
「まずどこで寝るかを話し合わなきゃね」
部屋は二つに仕切られている。
ベッドではなく布団を敷いて寝るらしい。押し入れを開けてみると布団が人数分入ってた。
「こっちが女子で、あっちが男子。それでいい?」
「いいんじゃない?別に寝る所ぐらい」
「じゃ、決定ね」
話し合いが終わったら、ご飯まで自由行動。
ご飯は食堂に行かなきゃだめ。ちなみに、ご飯のときはグループで行動しないといけないみたい。
「食堂は6時から7時までだから、6時にここ集合ね」
「分かったー」
って言って逃げるように去ろうとした三谷を掴んだ。
「みーたーにー?家族へのお土産さっさと買っちゃおうよ。あとでお金ないとか言わないように」
「………はい」
「明日は泳ぎたいねー」
「ほぼ自由時間だし。他のグループの人も誘ってみんなで遊ぼうよ!!」
美菜子はホント元気だなー。
「うん、そーしよ」
「高杉」
「何?」
「お前、お母が準備した水着持ってきた?」
「もちろん。 あ、でも、何か嫌な予感したから、ちゃんと自分のも持ってきた」
「チッ」
「…何よ?」
「おもんねーなぁお前」
「何が?」
「ま、明日になったら分かるだろ」
意味分かんないんですけど。
…明日分かるんなら、それでいいか。
「じゃ、あたし眠たいからもう寝るねー」
「えー?香恋はやいよぉ!!」
とかいいながらも美菜子も部屋に入ってきて布団を敷く準備をしていた。
「じゃ、おやすみ」
矢幡と三谷に言うと、あたしは布団に入った。
「おやすみ、美菜子」
「おやすみ」
明日は三谷と一緒に行動なんかしないんだから!!
と、心に誓った。