「何コレ――――――?!」

 お義母さんが準備してくれた水着を出してみた。何か、嫌な予感がしてたし。

そしたら……もう、言葉にできないような……なんて言うか、こんなの、絶対着れない。

ビキニじゃないけど、とりあえず着たくない。絶対あたしには似合わない。

黒い水着なんて無理!!なんか大人っぽいんですけど?!

 よかった、自分の持ってきといて。

「それ、お母が買ったんだよ、高杉にーって」

「…ホントに?」

「選んだのは俺」

「死ね三谷ぃ――――!!!」

「朝から元気だねー。早くご飯食べに行こーよ」

「美菜子ー。コレ、どう思う?」

 あたしはお義母さんが準備してくれた水着を見せた。

「え?いいんじゃない?香恋、この水着着るの?」

「…大丈夫。自分の水着ちゃんと持ってきた―――あれ?!

「えー?香恋、忘れたとか言わないでよねー」

「ない―――!!」

「ホントに言ってるの…?」

「どーしよぉ!!嫌だよこの水着ー!!こんなの着れないーっ」

「えー?似合うと思うよ?香恋かわいいし」

「嫌だぁーっ!くそー、三谷死ねコノヤロー」

「どさくさに紛れてそんなこと言ってんじゃねーよ」

「ねーあき、コレ、香恋似合うよね?」

「さぁ?」

「…ねー三谷、コレ、香恋に会うよね?」

「全然」

「…あたし嫌だよーっ!!もぉ泳がないっ!!」

 

「やーめーてーっ!!美菜子、これあたしに対するいじめだから。この水着着せようとするのいじめだからーっ」

「いいから着てみなよ。似合わなかったら諦めればいいじゃん」

「着る前から諦めてるからもーいいのーっ」

「だーめー」

 

 結局、着せられた。

 

「香恋…」

「もーいいでしょ〜?絶対似合わないんだってばぁ」

「可愛いっ」

 とか言って、美菜子はあたしに抱きついた。

「美菜子?!」

「すごく似合ってるよーっ♪」

 他の友達からも言われた。

…この水着が似合ってる?!嘘だっ!!!

「三谷に見せつけてやりなよ!あれだけバカにされたんだしね?」

「嫌だ…」

「さー行こ行こ!!」

「やだってばー」

 みんなに引きずられるようにあたしは無理矢理つれていかれた。…まぁ、つまり強制連行された。

 

「三谷っ」

「ん?」

「どぉ、香恋。水着すっごく似合ってない?」

 美菜子におされてあたしは三谷の前に立った。

「…お前、マジで着たのかよ」

 とか言いながらあたしを見て

「やっぱ、ぜんっぜん似合ってない」

 と真顔で言うと、

「おーい矢幡ー!あっそぼーぜー♪」

 とか言って矢幡のとこ行くし… 

「むかつくんですけど!!真顔で言うことないじゃんかーっ!!!三谷のバカァ―――!!」

 せっかくの海水浴、楽しめそうにないんですけど。

  

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