あの後は、あんな事件(?!)もなく、普通に無人島旅行が楽しめた。
足に刺さってたのは貝殻らしくて、そこまでヒドイ怪我でもないらしい。
だから、次の日には普通に海で泳いだ。
………もちろん、水着はあの黒い…いや、もう考えないことにしよう。
「2泊3日って案外短かったねー」
「そーだね。もうちょっと長くてもよかったのに」
「あー!あたしあきとちょっとしか遊んでない!!!」
「何ソレ。ご飯のトキとか十分いちゃついてたくせにー。ってか十分一緒にいたじゃない。海でも」
「えー?でもー」
「ノロケにしか聞こえないんだけど?」
「えー?香恋なんか三谷に助けられてたじゃんっ♪」
「えっ?!あ、あれは別に、何もないじゃん。ただ助けてくれただけでっ!!}
「そーだけどね?」
とか言いながらクスクス笑ってる美菜子がちょっと恐ろしいと思えた。
そして、帰りのバスの中。
みんな疲れたのか、寝てる。
もちろん、あたしも寝かけてた所……
「水着」
「え?」
「似合ってた」
視線をそらして、こっちを向かずに言う三谷。
「あ、そ、そぉ」
ってか、何であたしドキッてしたの!?
「絶対似合わねーと思って買ったのになー」
「……何ソレ」
「笑ってやろうと思ってたのにさ、思ったより似合ってたからどーしていいか分かんなかったし」
「十分けなされたけど」
「あの水着も可哀想だよな、こんなかわいくねー奴に着られて」
「あのさ、似合ってるとか言ってなかったっけ?」
「言ってない」
「は?!」
「前言撤回だ。俺は断じて似合ってたとか言ってない」
「…何ソレー ま、良いけどね?」
「何だよそのキモイ笑顔」
「キモイとか言うな」
あたしは殴った。 とりあえず殴った。
いくら何でもキモイはないだろ!?似合ってるとか言ってたじゃんっ!!
「よし、全部お義母さんに報告……」
「するなバカ」
「何でー?良いじゃん!!」
「全然よくない!!」
「あたしのことキモイとか言ったしー?水着似合ってないとか言ってけなすしー?」
「何でそういうこと言うんだよ!お母がどんだけお前のこと気に入ってるか知っててやってるんだろお前!」
「うん」
当たり前じゃん。
お義母さん、あたしの味方だもんねー♪
「お願いだから言うなって!」
「じゃぁ謝れよ」
「は?!」
「謝ったら、許す」
「…何で俺がっ」
「あーそぉ、じゃ、遠慮せずに言っちゃいまーす」
「だーかーらーっ!!」
「うるさい」
まわりのみんなに睨まれて、あたしと三谷の喧嘩は幕を閉じた。
「いくら仲良くても、見せつけちゃ迷惑だよー?」
「何言ってるの?!」
「もうみんな知ってるから、見せつけてくれる必要ないよ?」
「だから、何が?!」
「もー、素直じゃないなぁ香恋はー」
「だから何のこと言ってるのー!?」
「ホント、香恋と三谷は仲良しだよねー」
「どこがっ!!」