「香恋おはよー」
「あ、おはよう」
あたしは友達にあいさつしながら、席にすわった。
そして、隣に座っている三谷に昨日のことを聞こうと思って、友達のところに行く前に声をかけた。
「三谷」
あたしが呼んでも、友達としゃべっている三谷は何も言わなかった。
「三谷康輔聞いてんのーっ」
「え?聞いてねーけど。でな〜」
あたしの話はスルーして、友達としゃべり続ける三谷。
「人の話を聞け――――!!」
あたしは叫ぶと同時に、教科書で三谷の頭を殴った。
「で?何だよ話って」
「あのさ、あたしがどうして三谷の家に行かなきゃいけないの?」
「は?俺に聞くなよ」
「だって、だってだって、お姉ちゃんとかお義兄さんとかには言えないでしょ!!」
「だからって俺か!俺に聞くのかお前は!!」
「三谷しか言えないじゃん!!どうにかしてこの話なかったことに出来ないの?」
「無理」
即答かよコイツ。
「ってわけだから、今日お前帰り一緒に帰るからな」
「…へ?いや、意味分かんない。どういうわけであたしは三谷と一緒に帰らなきゃいけないの?」
「俺がお前送って帰るようにお母に言われた」
「…ん?」
「荷物はもう家に届いたから」
早っ!!!早すぎるって!
「だから、俺が送って帰る。じゃぁ、5時に自転車置き場な」
「ちょっと待って。あたしチャリ通じゃないよ?」
「俺が後ろに乗せて帰る」
「えっ…?」
「遅いしアイツ」
何分待ってると思ってるの?もう10分経ったし。
「ハァ…」
あたしはため息をついてグラウンドへ行った。
野球部はグラウンドでやってるはずだから。
「三谷…」
そこには、一生懸命野球やってるカッコイイ三谷が居た。
アイツ、顔だけはやたらいいんだから…。
だけど、ムカツクのはムカツクわけで。
「おいコラ三谷ー!5時って言ったのお前だろーっ!」
「あ゙ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
三谷は叫んだ。
あいつ、自分で言っといて忘れてるな。
…後でしばかなきゃ。