「香恋ちゃん、元気ないね?」

「…別に、元気ないわけでもないです」

 あたしは、何故か敬語。

この男の子は、近くの男子校の野田 竜太(のだ りゅうた)とかいう人らしい。

あんまり、興味ないんだけどね?

「そろそろ敬語やめない?」

「何で…ですか?」

「だって、俺ら同い年だし、何か親近感ないじゃん?」

「…そーですか」

 別にあたし親近感抱いて欲しいワケでもないから。

「香恋ちゃん冷たいなー」

「こういう性格なんで」

 三谷相手なら、もっと思ってること遠慮なく言えるのに。

いっつもけんか腰だけど、でも……それなりにお互い、相手の考え方とか分かってるから、もっと…何て言うかな…

とりあえずこんな雰囲気にはならないはず!!

 って、また三谷のコト考えてるしあたし!!!

「香恋ちゃん」

「…何ですか」

「彼氏とか、いるの?」

「いない!!!」

 あ、思わず大きい声が…

案の定、野田とかいう奴は笑ってた。

…なんかムカツク。三谷に対してのむかつきとはまた別のむかつきだ。 とりあえずコイツは3回ぐらい殺してやりたい。

「そっか」

「……それが、どーかしましたかー」

 あたしはお茶を飲んだ。

はやくここから出たい。 何かやだよぉ…

思いっきり1対1になっちゃったし!!

舞香に助けて貰おうにも、舞香は別の男の子と良い感じだしさー

てかあたしと野田とかいう奴は良い感じでも何でもないんですけどー

とりあえず、か え り た い !!

「俺なんか、どう?」

「は?」

「彼氏いないんだったらさ、俺なんかどう?」

 誰がお前みたいな軽そうな男と…!!!

ふざけんじゃないわよーっ!!あんたなんか断固拒否!!!

「とりあえず、番号とメアド教えてよ」

「…嫌です」

「何で?」

「嫌だからって言ってるんですけど」

「別に良いじゃん」

「良くないです」

「じゃあメアドだけでもさー?」

「嫌です。ってか近いんですけど!!」

 何なのこの人?!

近い!!近い近い近い近い近――――――――――い!!!

「メアド。 教えてよ」

「嫌!」

「付き合うのは仲良くなってからでいいからさぁ」

「付き合わないし仲良くもなりたくないです」

「香恋ちゃん素直じゃないなー」

 野田とかいう奴は、あたしの方に手を回してきた。

…キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ キモチワルイ…

「素直ですけど。さっきすごく素直に自分の気持ち言いましたけど」

「香恋ちゃん?」

 誰か、助けて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「汚ねー手で人の女触ってんじゃねーよ」

「み……三谷!!」

 三谷、あたしのこと助けてくれた………の?

「帰るぞバカ」

「…なっ…バカって何よ!!」

「うっせーな。早く帰らねーとお母が心配してるんだよ!」

「…そーだった…」

 結局、三谷と帰ることになっちゃうんだ…

嫌だ嫌だ。もちろん、野田とかいう奴と一緒にいるよりはマシだから素直に帰るけど!!

  

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