何故だっ 何故こんなことになったんだっ?!

何で三谷の隣で映画を見なきゃいけなくなっちゃったのよぉっ

 

 

 それは、さかのぼること15分前。

「いーぃ?終わったらちゃーんと待っててよね」

「何回も言わなくても大丈夫だ」

「よし、じゃぁあたしはあそこから入るから、三谷はあっちから入って」

「そこまでしなくても」

「とにかく、隣には座りたくないの」

「…大丈夫だと思うけど?今日土曜だから人多いし。満席にでもなるんじゃね?」

「いーから!!」

「…分かった分かった」

 幸いにもこの映画館には入り口が4つもある。

というわけで、あたしと三谷は別々の入り口から入った。

だから、絶対隣になる事なんてありえない!!100%ありえないっ!!

 

 

 

 

 ハズだったのに。

 

 

 

 

 あ、あそこ空いてる!

って思って、あたしは座った。 そう、隣の人なんか見ずに。

で、チラッと横を見てみると…

「なっ……何で三谷?!」

「お前…隣は嫌だとか言ってわざわざ別の入り口から入っただろ?何で隣にいるんだよ」

「そんなのあたしが聞きたいよぉ」

 あーりーえーなーいーっ

何で?! 何で三谷が隣なの?!

 しかも、もう空いてる席なんて見あたらない。 いや、見つかったとしても、もう始まるから移動できるわけもない。

結果、三谷の隣で映画を見るはめになってしまった……

 あぁっ!!やっぱりあの時帰らずに美菜子達と遊べばよかったんだぁっ!!!

 

「何で隣で映画をみなきゃいけなくなっちゃったのよぉ」

「泣きながら言うな。つーか俺が泣かせたみたいだ。早く泣きやめ」

「だっ……だって、だって夏紀(なつき)が…っ」

 夏紀っていうのはさっき見た映画の主人公。

あぁ、泣ける。 あの映画は泣ける。 感動したぁっ

「分かったから、泣きやめ」

「無理ぃ」

「じゃぁ俺に対して文句を言うのはやめろ」

「何であんな感動する映画を三谷の隣で見たんだろう……あぁ、悔やんでも悔やみきれない」

「……お前置いて帰られたいか?」

「あっ やだやだ!!あたしここから一人で帰れないっ!!」

「よし、泣きやんだな」

「…うん」

「じゃ、映画はちゃんと見たし、帰るかー」

「あっ!!!」

「………何だよ。 つーか声でかい」

「あたし、今日ノート買うんだった!!」 

「は?」

「今日、美菜子達と遊ぶ予定だったの。 で、そん時ノートを買おうと…」

「ふーん。 じゃ、俺は帰る

「なっ…薄情者ー!! あたしさっきここから一人で帰れないって言ったでしょ!!」

「だから、何だよ。俺は嫌だぞ。お前の買い物に付き合わされるの」

「………くそー。今すぐにでもコイツを絞め殺してやりたい」

「声に出てるぞお前」

「よしっ!!」

「何が“よしっ”だ!!」

「三谷」

「…何」

「君に選択の余地をあげよう」

「は?」

「絞め殺されるか 刃物で刺されて殺されるか。 さぁ、どっち?!」

「“どっち?!”じゃねーよ!!バカかお前は!どっち選ぼうと俺殺されるじゃねーか!!」

「じゃぁ、買い物に付き合ってるくれるよね?」

「………分かりましたー」

 とまぁ、半強制的に三谷を連れて、買い物に行くことにした。

よし、何か奢って貰おう!!

  

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