「さて、ノートも買ったし、」

「じゃ、帰るか」

「そんなわけないでしょ」

「…は?」

「何言ってんの。バカでしょあんた」

「………」

「よし、どっかでおいしい物食べよーう!!」

「おい高杉!!」

 嫌がってる三谷なんかほったらかして、あたしは歩き出した。

美菜子から聞いたんだ、この近くにケーキのおいしいお店があるって!!

三谷とっていうのは気にくわないけど、ケーキ食べたいのっ!

 

「あーっ!」

「…何だよ」

「三谷、ティッシュ貰わなかったでしょ」

「は?」

「あの人がポケットティッシュ配ってるのに、あんた貰わなかったでしょ!!」

 もちろん、あたしはバッチリもらった!!

「何でわざわざ…」

「何言ってるの!!」

「…は?」

「ティッシュ配ってる人にはね、ノルマってものがあるのよ!その日いくら配らなきゃいけないとか決まってるの!!」

「…それが?」

「だから、配り終えるまで帰れないでしょ!!ちょっとでも助けてあげようとか思わないの?!」

「何で」

「いいから、謝ってティッシュ貰ってこーい!!」

「何滅茶苦茶なこと言ってるんだよ!!!」

 

 

 

「ここ。ここのケーキおいしいんだって」

「あっそ」

 あのあと、結局三谷はティッシュを5つ貰ってきた。

どうやら配ってた人はあたしと三谷の会話を聞いていたらしくて、「彼女さんに怒られるから、5つぐらい持って行きなよ」って言われたらしい。

…てちょっと待て。彼女さんって誰?!

「で、ここで何すんの」

「食べるに決まってるでしょ」

「は?」

 

 三谷がなかなか決めないから、適当にチョコレートケーキを選んでおいた。

あたしは美菜子オススメのショートケーキ。 すごくおいしいらしいんだ♪

「コレ食ったら帰るんだよな」

「え?ううん」

「…まだあるのかよ」

「いいじゃん。たまにはあたしに付き合ってくれたって」

「いーっつもお前のワガママに付き合ってやってる気がするんだけど」

「気のせいよ」

「いや、絶対違うと思う」

 

「次は雑貨屋さん行きたいなーっ」

「あーハイハイ。もう何処へでも行ってください」

 もう三谷はあたしに反抗するのを諦めたらしい。

 

 

 こんな感じで、今日はいろんなお店をまわった。 うん、三谷とってのが気にくわないけど。

「はい」

「…何だよこれ」

「今日付き合ってくれたお礼」

「え?」

 お店をまわってるときに、香水を見つけたの。

三谷にピッタリなのがあったから、買っといた。 三谷が香水を使ってるのかは分からないけど。てか三谷の趣味なんて知らないし。知りたくもないし。

でも、今日はあたしに付き合ってくれたんだし、お礼ぐらいしないとね。

「…いらないの?」

「いや、別にそんなこと言ってねーけど」

「そーかそーか。あたしの好意を受け取れないというのか。よーし分かった。じゃぁ今すぐ三途の川を渡らせてやろう」

「だまれ」

「ま、気に入るかどうか分かんないけどさ、あげる」

「…ん。ありがと」

 “ありがと”って言った三谷の顔が少し赤かった。

……照れてるの? へぇ〜可愛いねー

「さて、帰るかっ♪」

「おいちょっと待て高杉。俺めずらしくお礼言ったんですけど!!それに関しては無視か?!!」

「……ごちゃごちゃ言ってないで、帰ろ?」

「お前……もう2度とお礼なんか言わねーぞ!!」

「うるさーい!」

 なんだかんだ言って、楽しい休日を過ごせた気がする。

……まぁ、三谷とってのが気にくわないけど。

  

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