「あぁ、分からん!!」

 

 只今、あたし高杉 香恋は『定期テスト』という強敵に勝つため、テスト勉強中。

 

「さっきからソレしか言ってねーぞ」

「そもそも、三谷の教え方が悪い!!」

「……俺わざわざ数学教えてやってんだけど。そんな言い方するか普通」

「あたしだって現国教えてあげたじゃん!!」

「だから俺数学教えてやってるんだろ!何で分かんねーんだよ!!」

「だってあたし数学嫌いだもん!」

「お前の頭は飾りか!!」

「………悪かったですねー 飾りでー」

「そうか。飾りなら今すぐとれ。似合ってねーぞ」

 ムカツク。

…けど、とりあえず今はスルーで。

「あぁ、分からん!!」

「……」

 

 そもそも、何でテストなんてものがこの世に存在するのかなぁ。

あたし大っ嫌い! 三谷並みに嫌い!!特に数学。

だから、数学は得意っていう三谷に教えて貰ってるんだけど、全然分かんない……。

 

「いいか、よーく考えてみろ」

「さっきからよーく考えてる」

「………」

「だからさあ、何でこうなるの?意味分かんない」

「だからさあ、何で理解できねーの?意味分かんねぇ」

「今すごく三谷を殺したい!! 今すぐ殺ってしまいたいっ!!!」

「大声で言うなバカ!」

 

 

「どーお?勉強進んでる?」

 お姉ちゃんがジュースを持って来てくれた。

「このバカどうにかしてください」

「バカって何よ!!あたし三谷よりはマシだと思う!!」

「何処が」

「全体的に!!」

「意味分かんねーよバカ」

「バカって言うなバカァ!!」

「…そんなバカバカ言い合ってないで、休憩でもしたら?」

 お姉ちゃんに言われて、休憩をとることにした。

 

『嘘?!香恋勉強してるの?』

「何よ。してたらダメなの?」

『そんなこと言ってないけど〜?』

「…美菜子は、勉強してるの?」

『勿論♪』

 あぁ、矢幡とやってるんだ。

「矢幡に教えて貰ってるの?」

『うん。 あきの説明分かりやすいんだ』

「いーなぁー優しい彼氏でー」

『香恋には三谷がいるじゃん』

「……美菜子、電話きるね」

『怒らなくても良いじゃん!ちょっと、香恋?!』

「あたし勉強する」

『う……うん、じゃぁ、またね?』

「うん」

 

 ホント、いーなぁー 彼氏持ちって。

しかも美菜子の場合勉強できて運動できて顔も良くて完璧じゃん。

…三谷? 三谷は顔だけね。

性格最悪だし、勉強は数学だけ。 まぁ、野球は…… うん、スルーしましょう。

「おい高杉」

「何?」

「数学は諦めろ」

「えー?!」

「歴史やろ、歴史」

「それあんたがやりたいだけでしょ〜?」

「文句あんのかよ」

「あたしは数学が分からないの!!」

「俺は歴史分かんねーんだよ!!」

「数学ー!!」

「歴史!!」

「歴史なんか簡単じゃん!!数学教えてよ!!」

「そんなこと言うんなら数学のほうが簡単じゃねーか!!」

「だからぁぁっ」

 あたしが言い返そうとしたときだった。

「静かにしなさい」

 お姉ちゃんの一言で、リビングは静まり返った。

  

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