終わったよ。

終わっちゃったよあたしの人生。

……まぁ、テストで人生は決まらないよね。 うん、大丈夫だよきっと。

 廊下にはついさっき張り出された順位表。

まぁ、30位までしか載ってないけどね。 今まで載ったこと?あるわけないじゃん。

「今回も1位は矢幡かー」

「さすがあき!」

「すごいじゃん。美菜子はどうだったの?」

「10位上がったよ」

「そっか、おめでと」

 あぁ、美菜子の笑顔がすごく輝いて見える………

「あたし、あき捜しに行ってくる!」

「うん、いってらっしゃい」

 勿論、今回も順位表にあたしの名前はなかった。

250人近い人数の中で30位以内に入るなんて夢のまた夢。

今日帰りに成績表返されるんだろうなー あぁ、今回は何位だろう。この前は80位で、そこそこよかったんだけどね?

「あ、三谷」

「…ん?」

「ううん、何でもない」

 今日のお弁当は結構自信あるから、楽しみにしててって言おうとしたけど、やっぱりやめた。

どっちにしろ文句言われそうな気がする。

三谷だもん。三谷だもん。あの三谷だもん。

「…何だよ、変な奴」

「何でもないってば。殺されたい?」

 あたしはほぼ脅すような形で言った。

「…お、おう、分かった。俺は何も言わねぇ」

 三谷は青ざめた顔で言った。

 

「最悪……」

 結局、今日も昼休みには教室に「高杉――――!!!」っていう声が響いた。

今日のは自信あったのに。

 それだけじゃなくて、成績も最悪だった。

偏差値39。 あぁ、これからどうやって生きていこう……

ヤバイよ。赤点だよ。補習だよぉぉっ!!!泣きたい。

 サヨナラあたしの楽しい放課後。こんにちは悲しい補習の日々。

「頑張って、香恋。補習だってそんなに時間かからないと思うしっ」

 というみんなからの励まし。

何か余計悲しくなってきちゃうよ。

“ガラガラッ”

 あたしは教室に入った。

とりあえず頑張って補習も早く終わらす!!

「「あ」」

 最悪だ。

教室にいたのは先生と三谷。

「遅いぞ高杉ー」

 とかなんとか言ってる先生。

「………あ、はい、スイマセン」

 何で三谷が…何で、何で……!

 先生が言うから、仕方なく三谷の隣の席に座った。

…って言っても、いっつもあたしは三谷の隣で授業受けてるけどね。

 

「ハー、何でこうなっちゃったかなー」

 帰り道。

自転車の後ろであたしは食堂で買ったパンを食べながら言った。

「俺が知るか」

「まぁ、そーだけどね」

「お前、何位だった?」

「…聞くかなぁ普通」

「いや、ちょっと気になっただけ」

「三谷は?何位?」

「183」

「へー、おめでとー」

「何だよその反応」

「おめでとー おめでとー おめでとー おめでとー(以下省略)」

「うるさい」

「人がおめでとう言ってあげてるのにソレはないんじゃない?」

「どうせなら心からの賛辞を送って欲しい」

「あぁ、そんなの無理」

「あぁ、知ってる」

「…………」

「で、お前は何位だったわけ?」

 三谷より下です。

なんて言えるわけないでしょー!!

「まぁ、それは秘密と言うことで」

 192位なんて、死んでも言わない。

今回は三谷のせいで順位が100番ぐらい落ちた。

ありえない。マジで。もうマジでありえない。三谷のバカヤロー 1回死ねコノヤロー

「あ、そーだ」

「…何」

「今日の弁当は今までの中でだったら、一番旨かった」

「え…」

 う、嬉しいこと言ってくれるじゃん。

「でも、やっぱまだまだだよな。どーせならパンでも食いた…」

「死ね」

 

 こうして、強敵『定期テスト』は去っていった。

…って言っても、またしばらくしたらやって来るんだよなぁー

  

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