みなさーん! 秋ですねー!
地球温暖化が原因でまだ暑いけど、秋ですねーっ
秋と言えばー?
「食欲の秋ぃぃぃっ!!!」
……はい、こんなコト言ってるバカは放っときましょーね。
「ちょっと待てよ!俺が折角お前の話にのってやったのに【放っときましょーね】って何だよ」
「…いや、普通ここで食欲は出てこないでしょ」
「いや、食欲の秋だろ」
「いや、今から文化祭の話しようと思ってるんだからさ、文化の秋って言ってくれないと困るんだけど」
「でも食欲の秋だろ」
「…いや、だから文化の秋だってば」
「いやいや食欲の秋だろ」
「…もーいいよ」
さて。
そんなこんなでやって来ますは文化祭。
行事盛りだくさんの我が校の文化祭も勿論盛大(?)に行われる。
入学したときから楽しみにしてたんだよなー、文化祭。
文化祭まであと2ヶ月近くあるけど、あたしのクラスはこういうの好きだから、もう準備を始めようってことみたい。
…で、何をやるのかというと…
―数日前―
「では、文化祭で何をするか決めたいと思いまーす」
委員長、宮根 桜(みやね さくら)ちゃんが元気よく言った。
隣にいるのは宮根さんの彼氏で、委員長の場越 雄太(ばこし ゆうた)君。無人島旅行のときに、勝手にバスの席を決めた奴だ。←結構根に持ってる(笑)
「俺、劇がいい!」
発言したのはクラスのムードメーカー、一橋 達哉(いちはし たつや)君。
色々意見はあったけど、劇をすることになった。 ―――のはいいんだけど。
よーく考えてみよう。
このクラスはカップルだらけです。
つまり、劇の内容は必然的に恋愛物になります。
………大丈夫だ。きっと大丈夫だ。あたしにそんな役があたるハズがないよ。ヒロイン的な役なんて。よくて村人Aだ。
「じゃぁ、どんな劇にする〜?」
「ロミオと何とか?」
「何とか?じゃなくてジュリエットでしょ」
「そう、それだ」
「でも、そんなのって在り来たりじゃん。オリジナルでいこうぜっ」
「じゃぁシナリオ考えなきゃダメじゃん。誰がやるの?」
「笹倉は?」
「えっ?」
真っ赤な顔して言ったのは笹倉 愛(ささくら あい)ちゃん。クラスではあんまり目立たない、おとなしい子。
「笹倉そういうの得意じゃん」
笑顔で一橋が言ったけど、笹倉さんは俯いてた。 そんなに嫌なのかな。
「愛。俺手伝うし、やってみれば?」
笹倉さんの斜め後ろの席の内海 洋平(うつみ ようへい)君が言った。 内海君は笹倉さんの彼氏。
「…うん、分かった。私やってみる」
笑顔で言った笹倉さんはすごく可愛かった。
「よーし、じゃぁ決定! 愛ちゃんが台本完成させてくれたら役決めます!!」
と言うわけで、今役を決めてるんだけど…
「異議ありっ!!」
あたしは手を挙げて言った。
「何で【喧嘩ばっかりだけどホントは仲のいい、子どものできない夫婦】ってそんな設定の夫婦が登場するんですか。てかそれをあたしと三谷にやらせるのって嫌がらせとしか受け取れないんですが」
ありえないよ。
委員長からの嫌がらせ第2弾じゃん!! 何で夫婦役を三谷と?
「俺絶対やらねーぞ!!」
「文句言わない言わない」
なだめる宮根さん。
「三谷君は格好いいんだし、大事な役をやってもらおうと思って。洋平(ようへい)君と話し合って決めたんだ」
笑顔で言う笹倉さんはやっぱりすごく可愛かった。
「いいだろ?三谷。高杉とは付き合ってるんだし」
「「断じて付き合ってません」」
その後も、頑張って抗議したものの、結局【喧嘩ばっかりだけどホントは仲の良い、子どものできない夫婦】役をやることになった。
……三谷と。
「嫌だ!絶対嫌だ!!何でよぉーっ 三谷のバカー」
「俺は悪くねーだろ!!」