「ご飯よー」
下からお義母さんが言った。
まだ荷物が全部片付いてないけど、あたしは下に降りることにした。
「「あ」」
ドアを開けると、丁度三谷もあけたところだった。
しばらく沈黙が続く。
「きょ、今日の晩ご飯はなんだろうね三谷」
あたしは無理矢理笑顔を作って言ってみた。
なぜか「なんだろうね」なんて言って、キモチワル…とか自分でも思うけど。何にも言わなきゃ良かった。
「キモッ」
「う、うるさいっ!あたしが折角話しかけてあげたんだからそう言うこと言わないでしょ普通!!」
「本音です〜」
「だまれぇっ!だから三谷は駄目なんだよっ!いくら顔が良くても性格が良くなくちゃ絶対もてないからね」
「うっせーな。余計なお世話だ」
あたしと三谷はいつもの調子で喧嘩しながら下に降りた。
「あたしのことバカにするのそんなに面白い?!」
「別に、バカにしてねーけど?でも自分で自分のことバカだって理解してる辺りはバカじゃねーのかな」
「…ムカツク」
「黙れ」
「何を〜〜っ!!」
「康輔、香恋ちゃん、早く座ってご飯にしましょ」
お義母さんはいつもの笑顔で言った。
のほほ〜んとしてるお義母さん。お義父さんもしゃべりやすい人。
なのに、どうしてこの二人の間に三谷康介は生まれたの?!
「あの、お義母さんあたしまさか席ここですか?」
「そうよ?」
「…」
「ご飯冷めちゃうわよ。早く食べましょ」
「…はい」
あたしの席は、三谷の隣。
何で?!学校でも隣の席だし、部屋まで隣(向かい合わせだけど)だし、ご飯の時まで…。
「何でお前はいっつも俺の周りに居るかなぁ」
「こっちのセリフよっ」
「だまれ」
「うるさいなあ!三谷から言い出したんでしょ!!」
「お前の方が絶対声でかいからな」
「声の大きさとか言ってるんじゃないから!」
「うるさくて飯も食えねーし」
あたしが言い返そうとした時だった。
「香恋、だまって食べなさい」
お姉ちゃんが言った。
お義父さんもお義母さんもお義兄さんも、みーんな笑ってた。
「…」
あたしは三谷を睨んだ。
三谷はなぜか勝ち誇った目であたしを見る。
「はーい」
返事をしながら、あたしは三谷の足を思いっきり踏んだ。
「いってぇぇぇぇっ!!!」
ざまーみろ。