「香凜、おめでとう!!」

 三谷に勇気づけられた次の次の次の日。

あたしはやっぱり気持ち伝えることなんてできずに、いつも通り三谷と帰ってきた。

明日は、頑張ってみよう。とか思いながら。

「義姉さん何がめでたいんだよ」

「あれでしょ、優大(ゆうだい)が産まれたからでしょ」

「あぁ、そっか」

 あたしの甥、優大が産まれた。で、昨日お姉ちゃんと一緒に家に帰ってきた。

お義母さんとお義兄さんは大騒ぎだった(特にお義母さん)。

「ただいまぁ」

 あたしは多分みんながいるだろうリビングのドアを開けながら言った。

「ただいま」

 続いて三谷も。

「あ、香恋ちゃん」

 お姉ちゃんの高校の時からの友達で、あたしも知ってる人が結構いた。

もちろん、お義兄さんの友達らしい人もいたけど。

何だろう。パーティーでもやってるのかな?

「そっちの子は…香恋ちゃんの彼氏?」

 お姉ちゃんの友達が言った。

「違います違います違います!」

「違います連発しすぎだろお前」

「こんな奴彼氏になんて絶対したくないです!!」

「お前それ俺に対して失礼だぞ!!」

「うっさいなぁっ!嫌なもんは嫌なのよ!!」

「こんな奴って何だよ!」

「三谷にはそれぐらいの価値しかないのよ!」

「だまれ」

「三谷もね」

「俺だってお前みたいな奴お断りだからな!!」

「断わる以前の問題だから!あたし三谷なんか彼氏にしたいって思ったことないし!!」

「それは俺だって一緒だバカ!!」

「バカって言うなバカ!この前のテストの点数あたし知ってるんだから!それにお義母さんに言ってないこともね!」

 あ、余計なこと言ったかも。

「お、お前っ…」

「あら康輔。テストの点誤魔化してたの?」

 お義母さんに聞こえてしまったらしい。

「あ、いや、その…」

 そしてあたしを睨む。

「あ、じゃぁ、あたし部屋に戻りますね〜」

 あたしは急いで荷物を持って部屋に戻った。

いつ三谷が文句を言いに来ても大丈夫なように、部屋にはしっかりと鍵を閉めて。

あたしが部屋を出た後に、お姉ちゃん達があたしと三谷仲良しだね〜なんて言ってたことも知らずに。

  

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