「バスの席順はこれで決定しました」

「あの。それ、嫌がらせとしか受け取れないんですが

「俺も思う」

 委員長が決めたバスの席順。

何故か、男女が隣に座らなきゃダメ。

うん、まずここからおかしい。

そして、さらにあたしの隣は三谷だ。

嫌――!やめて――――――!!!!

「もう決定したんだ、文句言うな」

 男子委員長にはっきり言われて…

「でもこんな奴が隣って嫌なんですけど!!」

「”こんな奴”って何だよ!”こんな奴”って!!」

「うるさいなぁ、三谷は黙ってて!」

「うるさいのはどっちだよ」

「バカ三谷!死ね!!」

「うっせーぞお前!!」

「ほらほら、仲も良いみたいだし、いいでしょ?バスも楽しくなるしね」

「「どこが!!」」

 

「はぁ…」

 もぉホント嫌。

せっかくの行事なのにっ!三谷のせいで…

「溜め息つくな」

 自転車をこいでる三谷が言った。

「だって、溜め息つきたくなるんだよ?!また三谷の隣なんだよ?!」

「だからってはぁはぁ言ってんじゃねーよ。溜め息ついたら幸せが逃げてくって誰か言ってたぞ」

「え?!どうしよう!!幸せ逃げちゃった?!」

「バーカ。今更あわててどうするんだよ」

「だって!幸せに逃げてかれたら……あ、もしかして、あたしが常に三谷の隣なのは、よく溜め息つくから、幸せが逃げてっちゃったのが原因?!」

「知るか」

「でもそうとしか考えられないよね」

「幸せが逃げていくとか、そんなの関係ねーんじゃねーの」

「どういう意味?」

「どーせお前は俺の隣にされてたと思う」

「…」

 うーん、確かにそんな気もするけど。

「ま、ドンマイ」

「全然励ましになってないし」

 あーぁ、ホント最悪。

「あ、昨日飯食ってるときなんか言いたそうだったな」

「三谷が聴かなかっただけでしょ」

「今聞いてやるけど」

「…お土産。一緒に買いに行きたいなーって思って」

「は?」

「だから、一緒に買いに行きたいなーって」

「何で」

「家族へのお土産限定だけどね?」

「…ふーん」

「いいでしょ?割り勘したらいいし。別々に買って、同じ物買ってたりしたら嫌だし」

「あーはいはい。分かった」

「…なんかムカツク」

「勝手にむかついてろ」

「…」

 本気でムカツク。

  

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